2012年1月26日木曜日

論文の完成。井上ゼミ流論文の書き方とは。

こんばんは。玉置卓也です。


今回は論文の書き方についてご紹介したいと思います。





みなさんは、レポートや論文を書くときにどう書き始めますか?

タイトルからでしょうか。

それとも本文からでしょうか。

井上ゼミではそのどちらでもありません。

ではいったいどこから書き始めるのでしょうか!?




私たちは論文の骨格であるアウトラインから書き始めるのです。

アウトラインとは論文のロジックを箇条書きで書き綴ったものです。

例えば、以下の論文の一文があるとします。

少々重いテーマですが、みなさんに身近な内容をあえて選んでみました。

日本では脳死に至った人の生命維持を親族の判断によって中止する安楽死は認められていない。私は、楽死は認められるべきであると考えている。なぜなら、死とはだれもが生まれながらにして保持している権利であるためである。脳死となった場合、その権利を当人が行使することはできない。また、親族は患者の代理人であるということがこれまで述べられてきた (研究者,年号)。したがって、その代理人たる親族が当人の持つ死の権利を代理的に行使する安楽死は認められるべきなのである。

これが出来上がった論文だとすると、そのアウトラインは以下のようになっています。

・安楽死は認められるべきである。
・なぜなら、
  ・死は誰もが持つ平等な権利であるため
  ・脳死に至ってはその権利を自発的に行使することが出来ないため
・親族は患者の代理人足りうる (研究者,年号)
・したがって、安楽死は認められるべきである。

このように、アウトラインにまずは最低限必要の項目を箇条書きで書きます。


アウトラインを書く利点は3つあると思っています。

・必要最小限から書き始めるので、論理が紡ぎやすい

いきなり本文を書き始めて、本論から外れた内容を書きすぎる。
そんな失敗をしたことが私にもありました。
本文を書く前に、アウトラインから入ることで、頭の中で情報が爆発している時でも一行ずつ整理してゆきながら書けてロジックを構築しやすいです。


・不要している個所や不足している箇所を指摘、改善しやすい

アウトラインだと、一度書いた後に見返してみると、その不十分さがよくわかります。
行と行の間のつながりがうまくいってなかったり、1つの行(箇条書きの1つぶん)を長く書きすぎていたりといった具合です。
ちなみに、一番初めにアウトラインを書く時には、1行は文字通り1行以内に収まるように心がけます。


・他の人にチェックしてもらう際に、理解してもらいやすい

これはゼミ生同士、あるいは先生や先輩にチェックしてもらう際に効果を発揮する部分です。
もしもあなたが後輩に論文のチェックを頼まれた際に、びっしり2万字が書かれた原稿を手渡されたらこころの奥底で「えまじ」と思うかもしれません。
私は思います。
しかし、初期の段階のアウトラインは多くて4000字。これだけでもずいぶんチェックしやすくなりますよね。
また、上記のとおりロジックの飛躍等の確認もしやすいので、頼まれた側は比較的簡単に添削をすることが出来ます。

つまり、アウトラインを作るということは、書く側と読む側両方おいしいのです。

そのアウトラインはロジックの飛躍を逐次確認しながら、徐々に情報を書き加えてゆくことで徐々に成長してゆきます。

私たちも最初は数百字のアウトラインも気づけば2万字の論文になっていました。


F1班は12月初週に行われた冬合宿からアウトラインを書き始めました。アウトラインの書き方に決まった方法はありませんが、参考までにF1班が行った方法をご紹介します。

まず、私たちの論文の構成は大まかに以下のようになります。

1.はじめに
2.先行研究
3.仮説の導出
4.検証
5.考察

論文を書き始める前に、構造のお手本となる論文を紹介していただきました。

まず1から3へと書き進めてゆきました。

「はじめに」は読み手の興味をそそりつつも、研究の予告編としての機能をしっかりと持たせます。

また、「先行研究」では読んだ膨大な論文を網羅的かつ体系的に整理しなければなりません。

「仮説の導出」では蓄積されてきた研究から自分たちが明らかにしたい仮説を導出しなければなりません。



この作業になんと20日間を費やしました。

1度書いては「書き直し」
2度書いては「書き直し」
最終的には9回書き直しました。
そして、年をまたいだ1月の10日ごろにやっと論文の形になりました。
しかし、懸賞論文に提出するには気をつけないといけないことがあります。

「文章の体裁」です。

懸賞論文では使用するフォントや見出しや引用、図表の書き方など事細かにきまりがあります。
毎年微妙に変わるので、ここでの具体的な紹介は省きますが、
一度自分流に書いた論文を懸賞論文の形に直すのはわりと時間がかかります。

いい研究でも文字のフォントが違うから落選といった事態に陥らないためにも、
論文の執筆は計画的に。


私たちは論文を書いては、先生、先輩、同期の方々にチェックをしていただきまた書き直す
という手順で論文を執筆しました。

2日でまるまる書きなおすといったハードワークな日々もありましたが、

そんな新しく出来上がった論文をお忙しい中チェックしていただいた皆さまに感謝いたしております。

皆さまのおかげでF1班だけでは絶対に完成しえないすばらしい論文が出来上がりました。

この互いに助言しあうという文化は井上ゼミの誇るべき点の一つです。

ときには至らない点を指摘されたり、

ときには良い点をもっとよくするアドバイスをいただいたり、

みんなの意見をうまく研究に反映させることで、
とても良いものが生まれます。

この記事を読んでいる人の中には未来の井上ゼミ生もいるかと思います。

そのまだ見ぬ後輩の方々には、他のゼミ生へ”助言”を惜しまずにしてほしい。

「人の研究だしなんで俺が…」
といった独立主義的な意見や

「敵に塩を送りたくないな…」
といった対抗心や

「こんな意見を言っても参考にならないだろうな…」
みたいな不安が

あって意見ができないかもしれません。

が、全部取っ払って意見してください。

この意見こそが井上ゼミにいる価値なのですから。


先生をはじめとする、井上ゼミの皆さま。
1年間卒論の指導をしていただき、誠にありがとうございました!

F1班でした!

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