草野です。
今年のF1シーズンもいよいよ大詰め。日を追うごとにどんどんF1の魅力に取りつかれていく今日この頃です。
さて、前回のエントリーではF1界の戦力均衡度合いと入場者数の関係を分析するモデル作りを紹介しました。
今回は統計分析の結果と「分析の妥当性」について書いていきます。
やっとのことで膨大な量のデータ整理が終了し、いざ統計分析へ!
とその前に、統計分析といっても一体どのようにして、どのような分析を行うのでしょうか?
統計分析を行う際にお世話になるのが「SPSS」という統計分析ソフトです(大学のほとんどのPCにインストールされています)。
SPSSはデータを入力すればわずかな手間と時間で分析結果をはじき出してくれる優れもので、定量的な調査を行う人たちの間で広く使用されています。
私たちはこのSPSSを用いて、「重回帰分析」という統計分析を行いました。
重回帰分析とは、私たちのF1研究の事例を使って簡単に説明するとグランプリ入場者数の増減に影響を与えるのは何なのかを特定する分析のことです(このとき入場者数のことを従属変数、入場者数に影響を与えるものを独立変数といいます)。
それではいざ統計分析です。
私たちの研究は「F1がチームやドライバー間で大きな格差があるにも関わらず、F1界全体では高い収入を誇っているのはなぜなのか」という疑問のもとスタートしました。
なのでまず初めに、そもそもF1界全体の戦力均衡度合いが入場者数(つまりF1界の収入)に影響を与えているのかどうかを分析することにしました。
全体の戦力均衡度は各レースでの1位とのタイム差を用いて作成した指標で表しているのは前回お伝えしたとおりです。
そしてSPSSに入場者数と戦力均衡度のデータを打ち込み、統計分析開始!すると…、
F1界全体の戦力均衡度が下がるほど入場者数は上がるという、統計的にも有意な結果が得られました!
タイム差を用いた指標以外にもドライバーの獲得ポイントや勝率を使用した指標を用意し同じように分析をしてみましたが、いくつかの分析で同じ結果を得ることができました。
この結果から、「全体の戦力均衡度が下がるほど実は一部で均衡が生まれていて入場者数が上がっているのかもしれない!うむ、研究も順風満帆だな!」
と思っておりましたが…、ここである問題が発生しました。
実は独立変数を作成するに当たり、あるグランプリの観戦者はどの期間のレース結果に影響を受けて来場するのかを考慮しなくてはいけません。
具体的に言うと、例えば2010年の日本グランプリに来場するファンは1年前のレース結果を見て来場したのか、それとも日本グランプリ直前のレース結果を見て来場したのかを考えて独立変数を作成しなければならないのです。
チケットの販売は日本グランプリの場合、
日本グランプリの約2試合前にあたる9月中旬まで行われています(チケットの販売開始は2月末からでした)。
私たちはこのF1のチケットの販売期間から推測して、グランプリの入場者数に影響を与えるのはそのグランプリの2戦前からグランプリの約1年前に当たる18戦前の間の計17戦の結果だと考えました。
そしてこの17戦の結果を平均させて独立変数を作成し、統計分析を行いました。
つまり2010年の日本グランプリでは、ファンは2戦前の2010年イタリアグランプリから18戦前の2009年日本グランプリの間の17戦のレース結果を見て来場していると考えたわけです
(ちなみに、2010年日本グランプリの次に行われる韓国グランプリでは来場に影響を与える期間を1レース分スライドさせた17戦の結果の平均としています。これを「移動平均」といいます)。
しかし、本当にグランプリの来場者は2戦前から18戦前のレース結果を見てチケットを買おうと判断するのか、F1ファンならグランプリの1年以上前からチケットを購入したいと考えるのではないか、
要するに2戦前から18戦前という独立変数の期間設定は妥当なのかという疑問が浮かび上がってきてしまったのです。
先生からは、自分は以前のレース結果がどうであれ時間が合えばチケットを購入するが、他のF1ファンはいつ、どのような動機でチケット購入を考えるのか直接聞いてみてはどうかとアドバイスを頂きました。
確かにその通り。
ではいつファンの方にお話を伺おうかと考えておりましたが、実は私たち、今年の10月に行われるF1日本グランプリを聖地鈴鹿まで観戦しに行くんです!
よって鈴鹿でF1ファンの方たちにアンケートを取ることにしました!
そうと決まれば早速アンケートの作成です。
どんなアンケートを作ったかは、次回のブログをお楽しみに!
くさの
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