2011年10月31日月曜日

日本グランプリ報告とアンケートの極意


こんばんは。玉置卓也です。
気付けば10月も残りわずか。卒論出稿まで3ヶ月を切ってしまいました。
大学生としての残り時間がわずかな所に焦りが見えてきましたが、研究の方は順調です。

今回は待ちに待ったF1日本グランプリの模様をお届けしたいと思います。

しかも、それだけじゃないですよ!

突撃敢行したアンケートの極意を紹介します。

非常に盛り沢山な内容なので、見逃すわけにはいきませんよ!


今年のF1日本グランプリは19戦あるうちの第15戦にあたり、日本で唯一開催されるレースです。

レースと言うと運動会の徒競走や競馬のように1日でばっとやって終わりかと思うかもしれませんが、日本グランプリは106日~10日の期間、会場の鈴鹿サーキットだけでなく鈴鹿市のあちこちで様々なイベントが開催される、とても規模の大きなレースになります。

その中でF1マシンが走るのは金曜日のフリー走行(練習)と土曜日の予選、そして日曜日の決勝の3日間。

いったいどのくらいの観客が来ると思いますか?

ちなみに東京ドームの収容人数が5万人、日本最大の陸上競技場の日産スタジアムは7万人です。



日曜日には10万人を超すファンが3日間でのべ20万人以上がサーキットに足を運ぶ
それが日本グランプリです。
日本で一番観客が多いスポーツイベントと言っても間違いではないでしょう。

これは世界の他のグランプリと比べてみても5番目に高い数字になります。

日本のF1の人気の高さがお分かりいただけたでしょうか。

さて、F1班ははるばる鈴鹿まで何をしに行ったのか。

もちろん観戦、ファンの方へのアンケートです!

アンケートの目的は定量分析をする際に必要となる変数を作るための参考にすることでした。
アンケートで聞きたい情報は3つ。
チケットの購入時期
チケットの購入動機(おもしろい試合が見たくて購入したか/否か)
おもしろいレースの条件

ここから独立変数を採取するグランプリの期間と、部分的戦力均衡の部分を導きます。

ドライバーのサイン目当てに できるだけ大勢の方にアンケートをお願いできるよう6日から作戦を開始しました!

正確には冷たい雨の降る中5日の終電で現地入りをしたんです。

なぜか。

それは

開門から先着9000名のピットウォークに参加するため
並ばれている方々にアンケートを取るためです!

ピットウォークとはコース上にあるピットのそばを歩くイベントです。ピットとはフェラーリやマクラーレンなどチームの整備拠点で、レース中にタイヤ交換をする場所のことをいいます。
ほんの数メートル先のこれから戦うチームクルーやマシンを眺め、運が良ければドライバーを見ることもできるだけに、ファンにとっては「徹夜で並んででも参加したい!」と思うイベントなんです。

6日にはピットウォークのほかにドライバーのサイン会が催されます。

サインをもらえるのはピットウォークに参加できた人の中から抽選になります。
サインがほしいと思っている人も集結する。それが6日という日。
そんな筋金入りのF1ファンの声が聞けるチャンスを逃すわけにはいきません。

(別に早朝からアンケートを取らなくてもファンは昼間にもいるじゃないか)と思われるかもしれませんが、もちろん徹夜で並んでまでアンケートを取った大事な理由があります。

私が考えているアンケート調査成功の極意は相手が負担する<コストを下げる>ことと相手が受ける<ベネフィットを上げる>ことに集約されます。

コストを下げる
ベネフィットを上げる
具体例
意味
具体例
意味
名乗る
相手の不信感を取り払う
楽しげな雰囲気で行う
協力したら楽しそうと思ってもらう
相手が暇なときに声をかける
時間を割く抵抗感を減らす
2人以上のグループにお願いする
快く承諾してメンツを上げてもらう
時間は短くする
同上
インタビュワに女性を入れる
対男性に効果てきめん
自由記述ではなく選択形式にする
同上


ここにもありますが、開門前の並んでいる状況はアンケートをしていただく相手方にとって、<暇な時間>です。
つまり、場内を歩いている時に声をかけた場合より成功確率が上がるのです。

F1班は夜明けとともにゲートへと向かいました。

すると、まだ6時前にも関わらず100名程の方が並んでいらっしゃいました。

実はピットウォークが先着順となったのは今年から。
(誰も並んでいなかったらどうしよう)と不安に思っていたのですが、100名の列を目にして一安心。

草野と2人でアンケートの練習をして(実は練習はこれがはじめて!)630分から作戦開始!!
開門までの1時間でどれだけとれるかが勝負になります。


アンケートは以下のように行いました。

【役割分担】
・特製のボードを持って話しかける役
・アンケート用紙に記入する役

特製アンケートボード!


【手順】
チケットの購入時期をボードにシールを張ってもらう
シールを張った瞬間に、購入動機を聞く
A.購入動機が「おもしろいレースが見られると思ったから」だった場合
最近のF1の印象と、その時期を聞く
おもしろいと思ったレースの条件を聞く

B.購入動機がおもしろいレース以外の場合
なぜ購入したかを聞く


最初の2組にかかった時間は合計で10分を超えていたため、ひと組あたり3分を目標に無駄話を省くことに気をつけました。

開門までの1時間で10数名の方に応えていただくことができましたが、
チケット購入動機が<おもしろいレース>である人は3名程という期待より少ない結果でした。


ピットウォークとドライバーサイン会の間の2時間に再度アンケート!
場所はドライバーのパネルと記念撮影が出来るところで、撮影を終えて一息ついている方にお願いをします。
これも上述の<暇な時にお願いする>作戦です。


この時から朝一とは少しアンケートの取り方を変更しました。
チケット購入動機がおもしろいレース以外だと答えた方にも、おもしろいレースの条件を聞いたのです。

それは、10余名の中でチケット購入動機を<おもしろいレース>だと答えた方が3名ほどと少なく、
このままの手法では部分均衡を探るヒントとなる<おもしろいレースの定義>の絶対数が不足する恐れが出てきたためです。
アンケート時間は長くなってしまいますが、こればかりは仕方ありません。

成果は抜群で、1人からも断られることなく順調に進みました。
そしてこの日は30名を超えたところで撤収。


金曜日

金曜日は渋滞にはまってしまい、予定より1時間遅れの9時半に現地へ到着しました。

遅れを取り戻すべく、昨日と同じポジションで頑張ります。

コースではFormula Challenge Japanとポルシェカレラカップというサポートレースが行われている中、アンケートに励みます。

この日は前日とはまた少し手法を変えていました。

何度もF1を見に来ているリピーターに<初めて生で観戦した動機>をうかがったのです。
これは「毎年恒例だから来る」と答えていた方の中にも初めて観戦しようと思ったきっかけが<おもしろいレースが見たい>ということがあるかもしれないと考えたためです。

この日も3時間をアンケートに費やし、30名の方にお話を伺うことが出来ました。

しかし、案の定購入動機=<おもしろいレース>と答えた方はわずか数名
さらに<初めての動機>=<おもしろいレース>と答えた方はほぼ皆無でした。
こうしてF1班の戦意が徐々に、徐々に殺がれてゆくのです。


土曜日

予選の日、土曜日。前日渋滞にはまった反省を活かし、高速道路を最大限活用して予定より早くアンケートを開始しました。

場所も前日までと同じにもかかわらず、アンケートの際の雰囲気がかなり違いました。

明らかに早く立ち去りたい素振りをされることが多くなったのです。

ある時はボードにシールを張ってもらっただけでこちらの話も聞かずにすぐに立ち去られてしまいました。

それまで順風満帆に答えていたのが嘘のようでした。

原因はおそらく、前日以上に多くのイベントが開催されていたことにあると考えています。
イベントの数が多いほど、必然的に<暇>である人の数は減ります。
(あのイベントを見に行きたいのに)と思っている方に快くアンケートを受けていただくことはとても難しいのです。

しかし、これがアンケートの本質です。

基本的に相手にはアンケートを受けるメリットは何もないということを忘れてはいけません。

これまで快く応じていただけていたのは、ただ相手とタイミングに恵まれたからにすぎないのです。

そこで再度アンケート方法に改善を加えることにしました。
・シールを貼ってもらうのではなく、自分で貼る
・なるべく間髪をいれずに質問を繰り出す
・終わったら次の方にすぐ話しかける

といった具合に、限られた時間を有効に使うように心がけたのです。

その結果、4日間で最も多い40名近い方に回答をいただけました。

そして、ついに大台の100名を突破!

ボードにはこれでもかというくらいシールが貼られています。

成果に少し満足をしながら帰路につきました。

日曜日
最終日の日曜日は土曜日以上にイベントが多く、足を止めているファンの数がとても少なかったため、アンケートを取る機会はかなり限られてしまいました。

最終的なアンケート結果は

有効回答数:109
チケット購入時期
3月 50
4月 10
5月 16
6   2
7   0
8  14
9  11
10  6

チケット購入動機:
おもしろいレースが見たくて12
それ以外97

というもので、
大半の方が、「毎年来ているから来る」「サーキットにくるのは音と迫力を感じたいから」ということでした。

しかし、どういうレースがおもしろいと感じるか尋ねた結果

ほぼ全ての方がオーバーテイク(追い抜き)が多いレースということを答えており、
全体の60%超の方が表彰台を争う順位で抜きつ抜かれつのレース展開が見たいと思われていることがわかったのです。
つまり、
ファンの方は戦力の均衡したレースが見たくてチケットを購入したわけではないけれども、内心では上位で均衡した試合がおもしろいと思っている。

従属変数として入場者数を用いることには一抹の不安が残りましたが、
上位の均衡がファンの関心を高めることは確信を持てる結果になりました。

実際に現場の声を聞かなくてはこれらのことは分からなかった事を思うと、とても大きな収穫でした。

アンケートに答えていただいた皆様に深くお礼申しあげます。
ありがとうございました。

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