こんにちは。草野です。
前回のエントリーでは、F1の入場者数に影響を与える均衡はどの均衡なのかを統計分析によって明らかにしました。
ドライバー全体の均衡は関係なく、上位ドライバー、スタードライバーが戦力均衡していると入場者数が多いという結果になったのでしたね。
しかし、戦力均衡という要素以外にも入場者数に影響を与える要因があるのではと疑問に思う方もいらっしゃると思います。
確かに、もしサーキットの収容人数が大きければ、入場者数もその分多くなりそうです。
ですから、収容人数のような要因も考慮しながら、「全体均衡」「上位均衡」「スター均衡」が入場者数を高めることを明らかにしなければいけません(考慮しなければならない要因を「コントロール変数」といいます)。
では一体、何をコントロール変数にすれば良いのでしょうか。今回は、私たちが分析に使用したコントロール変数について説明していきます。
BorlandとMacdonaldという学者が2003年に行った研究によると、ファンの関心(入場者数などで測られる)に影響を与える要因が大きく5つのカテゴリに分けられるそうなのです。
この5つはコントロール変数の特定につながりそうですね!
その5つの要因とは以下のとおりです。
試合の特性(Sporting Contest)
(えこひいきなどの)ファンの嗜好(Consumer Preferences)
経済的要因(Economic)
観戦環境の質(Quality of Viewing)
提供できる収容人数(Supply Capacity)
BorlandとMacdonaldによれば上位均衡、スター均衡といった戦力均衡度は1番目の「試合の特性」の中の要素なので、今回は残り4つのカテゴリからコントロール変数に導入することにしました。
具体的には「ファンの嗜好」カテゴリから、
スタードライバーの人数:従属変数のグランプリに参戦したスタードライバーの人数を表す。Meehanたちの2003年の研究では、出場するスター選手の人数が多いほどファンの関心が高まるとしており、レースに出走するスタードライバーの人数をコントロールしました。
開催国出身ドライバーの出場:グランプリに開催国出身のドライバーが参戦していた場合を1、そうでない場合を0としたダミー変数で、開催国出身のドライバーが出場すると国民からの強い関心が集まるため、その影響をコントロールしました。
開催国が本拠地のチームの出場:グランプリに開催国を本拠地とするチームが参戦していた場合を1、そうでない場合を0としたダミー変数で、この変数をコントロールするのも上と同じ理由からです。
「経済的要因」カテゴリから、
開催国の一人当たりGDP:経済不況の中ではスポーツ観戦のような嗜好品の需要は減少すると言われていて、経済状況を示す国民一人当たりのGDPを考慮しました。
「観戦環境の質」カテゴリからは、
サーキットの築年数:サーキット築年数が増えるほど老朽化により観戦環境の質が低下し、その結果入場者数が減少する可能性があるためにコントロールしました。
最後のカテゴリからは、
サーキット収容人数:サーキットの収容人数が大きくなるにつれて入場できるファンの数も大きくなるため、その影響をコントロールしました。
以上6つの変数をコントロール変数としました。
これらコントロール変数を、私たちが影響を調べたい「全体均衡」「上位均衡」「スター均衡」とともに重回帰分析に投入すると、たとえばサーキットの収容人数がいつも一定だとして、「上位均衡度合い」だけが変化した時入場者数がどのように変化するかを知ることができるのです。
前回のブログで出た結果は、これらコントロール変数の影響を一定として、上位均衡、スター均衡度が高いとき、入場者数も多いということを示したのでした。
コントロール変数についてお分かりいただけたでしょうか?
今後もっと分析を精緻にしていきます!それでは!
くさの
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